③まずはリーダー教育で意識改革を。
日本航空再建の為に何をおこなうべきか。稲盛氏は、社内意識改革を推し進めるべく、経営幹部50名を集め、1ヶ月にわたり徹底的にリーダー教育を実施しました。フィロソフィを通じてリーダーとしてのあり方から経営の考え方までを徹底して理解してもらうことを目指したのです。しかし、皆一流大学を出たインテリ達だった為、「なぜそんな当たり前のことを今さら学ばなければならないのか」と反発する者さえいました。
そこで会長は、「こんな幼稚なことをと、軽蔑しますが、皆さんは知っているかもしれないが、決して身についてはいません、ましてや実行にも移していません。皆さんは知識は沢山持っていたかもしれませんが、人間として正しいことを追究するという最も基本的な考え方さえ身に着けていなかった。そのことが日本航空を破綻に陥れたのです」
と切実に伝えました。当初は、稲盛会長のフィロソフィに違和感を覚えていた日本航空の幹部たちも次第に理解を深めていきました。多くの幹部が「人間として、リーダーとして、経営者として如何にあるべきかという考え方を、もっと早く知ってさえいれば、日本航空は倒産することにはならなかったし、自分自身の人生も変わっていたに違いない。その素晴らしい考え方を部下にも伝えたい」と考えるようになっていったのです。