「遺言を残すことと家族信託を組むことの違い!」
遺言は単独行為ですので、自分一人で「誰に財産を遺すか」を決定できます。故に、いつでも遺言の書き換えや取消しが可能です。本人が亡くなるまでは効力が発生しないので、何度でも書き換えられます。その為、判断能力が若干低下してきたときに、利害関係人からの圧力で遺言の書き換えが他の利害関係人に知られずに行われるリスクも生じます。
対して、家族信託は「契約で生前の財産の管理と、さらに相続発生後の承継先などを受託者に託す」形式ですので、「単独」ではありません。委託者の想いや希望を伝えたうえで受託者に託すことができる為、本人が亡くなった際の遺産の分配などについて、家族の理解を得られやすい方法といえます。
また、内容の変更に関しても、元気なうちに交わした契約が効力を発揮しますので、内容を変更したいのであれば、一般的には受託者との合意のうえで変更することになり、勝手には変えにくい仕組みともいえます。
つまり、判断能力が低下してきたようなときに、利害関係人からの圧力で遺言内容が恣意的に書き換えられるといったことを排除でき、元気なときにクリアな頭で決めた財産管理の資産承継に関する希望を、相続発生時まで維持できるという点で、遺言とその役割が異なります。